仏事

私の実家は、祖父も長男では無かったため家に仏壇が無かった。それゆえに、仏事について良く知らなかった事は多い。

母方の実家は本家なので、お盆になれば大体祖父母に会いに行ってはお線香を立てたけれど、中学・高校になるとなかなか行けなくなってしまって、まして高校卒業して留学した私は日本の仏事からは遠くに居た。

その反動か、外国生活があったからか、あるきっかけで仏事(というか仏教)に興味を持ち始めた。

仏教の教えに深く感銘を受けたし、日本人に産まれて良かったな〜と改めて思ったりした。

ある時、テレビで素晴らしい書を書くアーティストが特集されていて、あまりの感動に涙した事があった。彼女はダウン症で、書道の先生をしていたお母さんからお習字を習っていたのだけれど、お母さんは彼女にまず、般若心経を教えたのだという。最初は真っすぐも書けず、字の大きさもバラバラだったものが、数年後には見違える上達ぶりで、更に大きな半紙に大筆で勢い良く書く彼女の書が本当に素晴らしくて、ずっとずっと心に残っていた。

ある時、突然書道をやりたいと思い立った事があった。

その時にまず思い出したのが、テレビで見た彼女の事。そうだ、般若心経を書こう!と思い、般若心経を書く事を始めた。

始めた当初は、意味も全く分からずに書いていたけれど、何回か書くうちに意味が知りたくなり、意味を調べると更に納得で、般若心経を書いている集中の時間はとても心地よいものであった。

その時書き溜めた般若心経をどうしたらいいのか分からないまま、とりあえず大事に部屋の引き出しにしまって、私はその後結婚し、フランスへ移り住んだ。

日本に帰って来て、ずっと足もみとボディケアを施術していた患者さんと再会した。

その方とは、以前より本の趣味とか、感じる所が似ている所があったのだけど、久しぶりに再会したその日に、実は最近写経を始めたのだと話してくれた。そのお寺さんが、今住んでいる実家から近い事もあり、そして、嫁ぎ先・実家の宗派と同じお寺さんだったという事もあって、一緒に行ってみる事になった。

月に一回、護摩供養と写経をしているそのお寺さん。一度参加してみたら、目から鱗の話ばかりで、誘ってくれた患者さんに感謝の気持ちで一杯。

写経の字は、書いたらお寺さんに奉納し、絶対に捨てたりしたらいけないらしい。一生懸命書いた字をどうしても捨てる事は出来ずに大事にしまってあった般若心経。

願い事を書いて、持って来てください。大事に置いておきますから。と言って頂いていたので、今日、今まで書き溜めた13回分の写経をお寺さんに預けた。

さりげなく始めた般若心経だけれども、これは私の単なる勘違いか、ただの偶然かもしれないけれど、般若心経を書き始める様になってから、物事がとても自然な形で上手くいく様になっている気がする。

初めて書いた日は、東北大震災の2日後だった。それからしばらく間が空いて、2011年9月には2・3日おきに書いていた。

沖縄の大好きなお友達に会いに行き、毎日海で泳いで帰って来てから直ぐ、般若心経をまた書き始めたのだった。

その後、10月にある方のお誘いで、七面山という山に登った。そこは、お坊さん達が修行する山らしく、絶対に徒歩でしか登れない山。その山の頂上からは、富士山から出てくるご来光が見える。皆様々な思いを持って登るらしいけれど、毎年登っているという知人から「登ると良い事があるよ」の言葉につられ、登ってみたのだった。山頂の天気は安定しないもので、ご来光は全く見えない事もあるらしいけれど、私が登った日のご来光はなんと、七年ぶりの快晴という貴重なご来光だった。90歳になる何十回も七面山を登っているおばあさんは、今までこんなに綺麗なご来光を見た事はないとおっしゃっていた。

その後、私は素敵なダンスのお仕事をさせて頂く。そしてそこで旦那さんに出会う。

そして、結婚し結婚式の寸前に父が倒れ、即死してしまってもおかしく無い状況を覆し、結婚式にも参列出来て、式当日も80%雨の確立を覆しての快晴。

そんな話をお寺の住職さんにしたら、父の事は「お父さんは今までして来た良い事のポイントをその時使ったのですね」とおっしゃっていた。なるほど・・と思った。

般若心経は、そのポイントを溜める為にできる一つの事でもあるらしい。

今日納めた13回分の写経。一度にこれだけ書く事は出来ないけれど、今、過去に書いた13回分のポイント使わせてもらっている様な気持ちがして来た。

せっかく知る事の出来た日本の素晴らしい事。

これからも、出来る時には続けて行きたいと思います!!!

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