昔ながらの優れもの

首が完全にすわった息子。

以前より母から、子供はおんぶしてあげるのが一番良いのだという話を聞いていたので、首がすわったらおんぶ紐を使おうと決めていた。

官足法を勉強した後、自分のダンスを通して学んだ身体の知識と官足法の原理を組み合わせ、独自のボディケアで人の身体を見させて頂いていたけれど、ボディケアを行うにあたって最も大切にしていた事は、身体の後ろ側(背中側)の血液の流れと筋肉の緊張を解していくことだった。色々な症状がある方を施術させて頂いたけれど、どんな症状がある方もまず滞っているのは身体の後ろ側の部分であり、それを解してあげる事で劇的に症状が和らいだりしたものだった。

おんぶ紐を使い始め、改めて昔ながらのおんぶ紐の優れた効果を実感し、もっとおんぶ紐を利用する人が増えたら、きっと産後の身体はもっと守られる!と思ったので、その効果の程をここへ書いておこうと思う。

まず、首がすわらないうちに沢山抱っこをしていた為、最近の私は無意識のうちに大分猫背気味になっていた。

猫背になってしまうと、肩が前側に覆い被さる様になってしまって、リンパの通り道は塞がれ、呼吸も浅くなってしまう。呼吸が浅くなれば、まず滞ってしまうのが背中側の血液の流れ。

血液というものは酸素とともに運ばれる仕組みになっている私達の身体にとって、呼吸というものは本当に大切なもの。

そして、一つの場所が滞ればたちまち悪循環に陥ってしまう。

何と言ってもたちが悪いのは、悪循環に陥れば陥る程、感覚が鈍って来る事だ。

育児から滞った身体のいたる場所での血液の悪循環によって、私は自分が猫背になることでリンパの流れを滞らせ、呼吸が浅くなり、背中側に全く血液が廻らなくなっている事にも気づかないでいたのだった。

しかし、おんぶ紐をつけてみると、今までなんて姿勢が悪くなっていたのか・・・という事を直ぐに感じた。

前にかぶさっていた肩が後ろに引っ張られ、胸がしっかり開いた。そして、前になりがちだった頭の位置が真っすぐに戻り、腹筋を使っているのをしっかり感じる。

まるでバレエのレッスンをしているときの様にしっかりタンデンを使っていなければ、バランスが悪いのだ。

久々に感じたこの感覚。赤ちゃんをお守りしながらにして、体幹トレーニングが出来る優れものである。

そして、背中に一生懸命エネルギーを流しているからか、子供が本当に良く寝るのだ。

しかも、動けば動く程寝てくれる。きっと、背中側のエネルギーを感じれば感じる程、子供も良いエネルギーが感じるのだと思う。

例え寝なかったとしても、かなりご機嫌。

両手も使えるし、こんなに良いものは他にはないような気がする。

この昔ながらのおんぶ紐、是非皆さんに使って頂きたいものです。

そしてもう一つ、実感した事が・・・・

赤ちゃんが首がすわるまでの育児によって、お母さんの身体はとても負担がかかっている。

ぐらぐらな首を支えて抱っこする事も多いため、腕の筋肉も大分使わなければならない。

出産で身体中の血液が大きく流れてから、最初の頃はまだその流れが残っていてとても調子が良いものだけれど、

3・4ヶ月経つと出産時の疲れや育児の疲れが身体にまた停滞してしまう気がする。実際、自分自身そうだった。

身体に色々なサインが出始める。肩がこる、腰が痛い、頭が痛い・・・などなど、これらは全て血液循環が滞り始めたサイン。幸い、私の傍には施術してくれる母がいるので、今日治療をしてもらったけれど、実際かなり滞っていた。

一人目の子供を産んだ後、二人目をなかなか授からない方や、病気を患った方が母の元に沢山いらっしゃっていたけれど、実際自分が体験してみて分かった事は、出産後3・4ヶ月での身体のメンテナンスによって、身体に色々な影響が出て来るのだと言う事。

実際、3・4ヶ月でおっぱいが出なくなってしまったという話をいくつか聞いたけれど、それも血液循環の問題だと思う。おっぱいは血液と同じ。

そして、私が実際、一番血液が滞っていると感じたのが両脇のリンパ。そこの滞りをそのままにしておくと、後に乳がんなどの危険性も十分あると思う。

これまた実際、母の元にいらっしゃった患者さんでそういう方がいた。出産後の様子を聞いた所、数ヶ月で母乳が出なくなってしまった方が、十数年後乳がんを患っていた。

ここでまたおんぶ紐の話に戻ると、3・4ヶ月(赤ちゃんの首がすわる頃)からおんぶ紐が使えるという事は、もの凄く理にかなっていて、産後のお母さんの身体にとても凄く良く出来た優れものなのだ。

これが、抱っこだと背中側を意識する事はかなり難しく、身体の前側ばかりに意識が向く事によって、この時期最も意識しなければならない背中側の流れを滞らせてしまうのだな〜。

経験してみないと分からない事というのは沢山あるけれど、自分のこの経験を通して改めて昔ながらのおんぶ紐が、どんなにお母さんと赤ちゃんにとって良いものなのかという事が分かった。

もっともっとおんぶ紐、広まれば良いのに・・・。

そして、こういった身体の仕組みを良く知った上で、身体に良いアイテムを選び使用する事で沢山の方が自分で病気を防いだり、体調を整えたり出来るのにな〜と思う。

そういう講座、やりたいな〜。

と思う今日この頃です。

おんぶ紐万歳!!!!

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